グロービスMBAビジネスプラン

グロービスMBAビジネスプラン
第2章 ビジョンとミッション、経営理念
１、 ビジョン
　ビジョンとは、事業の道標となり、社員や取引先などのステークホルダーを動かす原動力となる重要な役割がある。ビジョンには明確な定期はないが、「創業者や経営者が考える企業の理想姿」、平たく言えば「将来的にどんな企業になりたいかを言葉で表したもの」と言える。　さらにミッション（企業の使命）や経営理念（経営哲学）と区別し、ビジョンはその時代に合わせて変化していく、より具体的な目標と考える。
ビジョンは以下のようなものである。
① 組織にも時代にも適合している。
② 将来の成功を明示し、組織の高い理想を映し出している。
③ 目的と方向性が明らかである。
④ 人々に決意を持たせ、やる気を奮い起こさせる。
⑤ 非常に明瞭でわかりやすい。
⑥ 組織の個性、独自の能力が反映されている。
⑦ 野心にあふれている。
２、 良いビジョンをつくるには
　良いビジョンには主に３つの観点が必要である。１つは、経営者の夢や理想から導かれる「やりたいこと」。2つ目は、現実的な経営資源に基づいた「やれること」。そして3つ目に、会社からの要請である「求められていること」である。
　「やりたいこと」とは、新事業リーダーが「こんな会社にしたい」と考えたことが反映される。現実的かつ具体的でなくてはならない。
　「やれること」とは、自分の実力と、自社あるいは事業のリソースについての現状把握や、自分の能力や会社の能力も見据えながら「ここまでならできるはず」と高くストレッチした目標設定を行うことが重要である。
　「求められていること」とは、日頃から想定ユーザーや業界関係者の生の声を聞いておく、新聞・雑誌やウェブなどで情報収集するといった地道な努力を怠らないことである。
３、ミッション、経営理念
　ミッションとは、企業が責任を持って成し遂げたいと考える任務。経営理念とは、企業が拠って立つ信念や哲学、経営姿勢を表明したもの。ミッションや経営理念の下には、さらに行動指針と組織文化がある。行動指針とは、従業員に、こういった行動をとってほしいと考える基本的な方向性である。組織文化とは、構成員の間で共有された価値や意識、あるいは習慣化した行動の集合体である。また、ある組織にとって、何が善であり評価されるのか、何が悪であり罰せられるのかを暗黙的に表すものだ。
　ミッションや経営理念が重量視されるのは、ビジョンと同等あるいはそれ以上に従業員の日々の行動習慣に影響を与え、組織文化に影響を与えるからである。

清水　優