日経ビジネス 「行列ができる賃貸マンション」を読んで
日経ビジネス 2012.5.28
2008年に全国の賃貸・売却用住宅の空き家率は20%に到達した。住む人のいない、賃貸住宅の空き家は全国で着実に増えている。これは、昨年私がビジネスプランで取り組んでいた「やどかり」が注目していた点でもあり、大変興味深い内容である。
そんな飽和状態の賃貸住宅市場で、問い合わせが殺到し、入居待ちが出来るほどの築25年の賃貸マンションが注目を集めているという。東京都豊島区に立地している「メゾン青樹」という一見ごく普通の13階建て賃貸マンション。ここでは従来の賃貸住宅にはない、珍しいサービスが人気となっている。そのサービスが「入居時に部屋の壁紙を1万種類以上から選べる」というもの。実際には、大家さん自らが1万点以上もの壁紙カタログの中から、入居者の嗜好を聞きだし、好みの一室をデザインしてくれるのだという。これは、大家さんである青樹純氏が「より主体的に、自由に住み方を選びたい個人が増えている」という流行を読み取り試行錯誤のうえで開始したサービスであった。
住まいを自由に選びたいというこだわりを持ち理想の部屋づくりを志向する動きはこれまでも存在したが、それら壁紙の実費や改装の負担は大家側が負担するためコストは余計にかかる。
ただ、自由改装が可能な賃貸住宅はメゾン青樹だけにはとどまらず、部屋の内装を自由に改修できる物件だけを集めたサイト「DIYP(Design It Yourself Project)」も存在する。
積み上がっていく住宅ストックをどう活用していくのか。既存の賃貸住宅には存在しない新たな考えを打ち出すことができる物件が広がりを見せれば、この市場の活性化にもつながるのだろうと感じた。
4年 苑原沙樹